NFLシーズン第5週目は僅差の試合や終盤の逆転劇が多く、見応えがあった。2021年シーズンも4分の1を過ぎ、多くのチームが転機を迎えて、リーグの勢力図に大きな変動を引き起こした。
唯一全勝を守るアリゾナ・カーディナルスを強敵の7チームがすぐ後を追いかける形だ。全体では17チームが勝率5割を越え、2勝3敗に踏みとどまっているチームも多い。その一方、未だに初勝利を挙げていないチームが2つある。
第6週目を迎える32チームの状況は以下の通りだ。
NFL パワーランキング
1. アリゾナ・カーディナルス、5勝0敗 (前回の順位:1)
カーディナルスの攻撃陣はサンフランシスコ・49ersを相手にやや調子を落とした。だが守備陣の働きと重要な場面でのビッグプレイによって、勝利をものにした。チーム創設以来の47年で最高のスタートを切っている。
2. ロサンゼルス・ラムズ、4勝1敗 (3)
ラムズは敵地で行われたシアトル・シーホークス戦で前半リードを許しながら、後半ハーフで逆転した。この勝利によって、NFC西地区で2位につけている。ラン攻撃と守備陣の力が戻ってきており、それはリーグ上位を狙う上で好材料だ。
3. バッファロー・ビルズ、4勝1敗 (4)
ビルズは敵地で行われたカンザスシティ・チーフス戦で復調を印象付けた。ジョシュ・アレン(クォーターバック)はついにパトリック・マホームズ(チーフスのクォーターバック)を上回ってみせた。もしプレーオフでチーフスとの再戦が実現することになっても、ビルズの有利は揺るがないだろう。
4. タンパベイ・バッカニアーズ、4勝1敗 (2)
マイアミ・ドルフィンズ戦でも、トム・ブレイディ(クォーターバック)とバッカニアーズ攻撃陣の勢いはいささかも衰えることはなかった。守備陣の働きももっと評価されるべきだろう。
5. グリーンベイ・パッカーズ、4勝1敗 (5)
パッカーズが第1週目の大敗から立ち直った。アーロン・ロジャース(クォーターバック)とマット・ラフルアー(ヘッドコーチ)の連携も良い。楽な対戦が続いた後に手強いシンシナティ・ベンガルズが待っていたが、延長で勝利をもぎ取った。守備陣は主力のジェア・アレクサンダー(コーナーバック)を故障で欠くことになる。ロジャースにはさらなる活躍が要求されるだろう。
6. ダラス・カウボーイズ、4勝1敗 (8)
カウボーイズはここのところ僅差の試合すらしていない。元々攻撃力が強いチームであるが、ダン・クイン(守備コーディネーター)とトレボン・ディグス(コーナーバック)の連携で守備力も完璧に近くなってきた。
7. ロサンゼルス・チャージャーズ、4勝1敗 (10)
ジャスティン・ハーバート(クォーターバック)には2年目のスランプは関係ないのだろうか? オースティン・エケラー(ランニングバック)に率いられた新たな攻撃陣との連携が上手く機能している。ブランドン・ステーリー(ヘッドコーチ)はもはや年間優秀コーチ賞の最有力候補である。チャージャーズはAFCコンファレンスでトップを狙えるチームになりつつある。
8. ボルティモア・レイブンズ、4勝1敗 (7)
ラマー・ジャクソン(クォーターバック)はまだ本調子ではないが、攻撃陣の援護が大きくなってきた。ラン攻撃は特にそうだ。守備陣も徐々に良くなってきている。
9. クリーブランド・ブラウンズ、3勝2敗 (6)
ブラウンズはチャージャーズ戦で守備陣が不可解な崩壊に陥った。ベイカー・メイフィールド(クォーターバック)とランニングバックたちが今シーズン最高の攻撃パフォーマンスを見せたにもかかわらず、チームは敗北してしまった。故障者が多いのも気がかりだ。
10. カンザスシティ・チーフス、2勝3敗 (9)
チーフスとパトリック・マホームズ(クォーターバック)はまたしても勝率5割を下回ってしまった。攻撃陣にはミスが目立った。敗戦を喫した相手チーム(レイブンズ、チャージャーズ、ビルズ)はいずれも強敵で、2年連続でAFCカンファレンスを制したチーフスを追い落とすだけの可能性は十分にある。守備陣は故障者が多く、その再建は容易ではない。
11. シンシナティ・ベンガルズ、3勝2敗 (14)
ベンガルズは第5週目のパッカーズ戦で接戦を演じたが、数少ないチャンスを逃し、惜しくも敗れた。ジョー・バロウ(クォーターバック)の故障が長引かなければ、まだまだAFC北地区の混戦を制して地区優勝かワイルドカード枠を獲得する可能性を残している。
12. テネシー・タイタンズ、3勝2敗 (17)
タイタンズの調子が再び上向いてきている。デリック・ヘンリー(ランニングバック)は相変わらず好調であるし、ライアン・タネヒル(クォーターバック)も不調から立ち直ってきた。戦力に欠ける守備陣も堅実なプレイを見せるようになっており、マイク・ブラベル(ヘッドコーチ)は喜んでいるだろう。
13. シアトル・シーホークス、2勝3敗 (11)
シーホークスにとってラムズ戦の敗北は痛かったが、それ以上にラッセル・ウィルソン(クォーターバック)が指の故障のためにしばらく戦列を離れることになった痛手は大きい。ジーノ・スミス(控えクォーターバック)には奮起が期待される。守備陣は問題を多く抱えている。鉄人のようなウィルソンに長い間依存してきたチームだけに危機は深刻だ。
14. サンフランシスコ・49ers、2勝3敗 (12)
49ersは敵地アリゾナで行われたカーディナルス戦では守備陣に頼るしかなかった。ジミー・ガロポロ(クォーターバック)、ジョージ・キトル(タイトエンド)、ラヒーム・モスタート(ランニングバック)と攻撃陣に故障者が続出しているためだ。新人のトレイ・ランス(クォーターバック)は明らかにまだ力不足である。カイル・シャナハン(ヘッドコーチ)には厳しい状況が続く。
15. シカゴ・ベアーズ、3勝2敗 (20)
ベアーズは苦しい状況だ。ジャスティン・フィールズ(クォーターバック)は故障を抱えながらフル出場しているが、マット・ナギー(ヘッドコーチ)の対応が注目される。だが、このチームの守備力とラン攻撃は依然として高いレベルにある。
16. ラスベガス・レイダース、3勝2敗 (13)
レイダースは意外な勝利を重ねていたが、強敵を相手にして予想通り弱点が目立ち始めた。特に守備力に定評があるチャージャーズとベアーズを相手にすると、それは明らかだった。シーズン序盤の快進撃は小気味良かったが、元々AFC西地区ではチャージャーズとチーフスよりはっきりと戦力が劣るチームである。
17. カロライナ・パンサーズ、3勝2敗 (15)
パンサーズの攻撃陣はクリスチャン・マカフリー(ランニングバック)を欠き、サム・ダーノルド(クォーターバック)が果敢なラン攻撃を見せていたが、ここにきてパス能力の弱さが露呈してきた。次週も本拠地での試合が続くが、フィラデルフィア・イーグルスに続くミネソタ・バイキングスも容易な相手ではない。
18. デンバー・ブロンコス、3勝2敗 (16)
ブロンコスはシーズン序盤に対戦相手に恵まれた。しかし、レイブンズとピッツバーグ・スティーラーズを相手にすると厳しい状況が明らかになった。攻撃陣は力不足であるし、守備陣は悪くないが、まずまずのチームでしかない。シーズン序盤の快進撃は小気味良かったが、元々AFC西地区ではチャージャーズとチーフスよりはっきりと戦力が劣るチームである。
19. ニューオーリンズ・セインツ、3勝2敗 (18)
セインツは敵地で行われたワシントン・フットボール・チーム戦でジェイミス・ウィンストンをクォーターバックに一本化せざるを得なかった。その試みは成功した。ウィンストンはパスでビッグプレイを随所に見せたし、アルヴィン・カマラ(ランニングバック)はレシーバーとしての能力が高いことを見せつけた。守備陣も安定しており、ワイルドカードを争う位置に留まっている。
20. ピッツバーグ・スティーラーズ、2勝3敗 (21)
スティーラーズの攻撃陣がようやく機能し始めた。ブロンコス戦ではベン・ロスリスバーガー(クォーターバック)とナジー・ハリス(ランニングバック)の連携が上手く行き、厳しい戦いに勝利した。AFC北地区は強敵がひしめく。スティーラーズが上位を狙うには、さらなる戦力強化が要求される。
21. フィラデルフィア・イーグルス、2勝3敗 (23)
ジェイレン・ハーツ(クォーターバック)は長いパスには秀でていないし、ランもそれほど得意ではない。だが、精神力が強く、身体的にもタフで、十分に機能している。敵地カロライナで行われたパンサーズ戦でも健闘し、イーグルスに貴重な勝利をもたらした。
22. ニューイングランド・ペイトリオッツ、2勝3敗 (22)
ペイトリオッツの守備陣は敵地ヒューストンで行われたテキサンズ戦ではその前のバッカニアーズ戦でトム・ブレイディから受けたショックを引きずっているように見えた。しかし、新人のマック・ジョーンズ(クォーターバック)は後半ハーフで良いプレイを見せた。次週は引き続きテキサス州のチームであるカウボーイズ戦が控えている。
23. ミネソタ・バイキングス、2勝3敗 (24)
バイキングスは勝った試合でも派手なプレイがあまりない。接戦の試合で敗北したイメージが強い。指揮を取るマイク・ジマー(ヘッドコーチ)意図するようなチームにはなっていない。戦力的には十分なはずだが、このままではワイルドカード争いに絡むのは難しそうだ。
24. ワシントン・フットボール・チーム、2勝3敗 (19)
セインツ戦でワシントンの守備陣は機能し始めているように見えたが、いつもながらの基本的なミスによって相手チームのビッグプレイを呼び込んでしまった。テイラー・ヘイニッケ(クォーターバック)ら攻撃陣はプレッシャーに飲み込まれているようだ。
25. アトランタ・ファルコンズ、2勝3敗 (27)
ファルコンズのマット・ライアン(クォーターバック)を中心とした新たな攻撃陣はアーサー・スミス(ヘッドコーチ)が意図する方向へ機能し始めている。守備陣も良くなってきた。だが所属するNFC南地区は他の3チームがすべて勝率5割を越えており、ファルコンズには厳しい戦いが続く。
26. インディアナポリス・コルツ、1勝4敗 (25)
コルツは攻撃陣に故障者が相次ぎ、守備陣も期待外れで、未だにチームの方向性を見いだせていない。タイタンズ以外は戦績が振るわないチームばかりのAFC南地区にあっても最下位の危機が迫っている。
27. マイアミ・ドルフィンズ、1勝4敗 (26)
ドルフィンズはランへの守備に難があったが、全体的にもひどくなってきた。ブライアン・フローレス(ヘッドコーチ)にとってはショックである。どこが相手でも攻撃力に頼らざるを得なくなってきており、そのためには高得点の試合しか勝機はない。
28. ニューヨーク・ジャイアンツ、1勝4敗 (28)
ジャイアンツはダニエル・ジョーンズ(クォーターバック)を筆頭に故障者が相次ぎ、攻撃陣は総崩れとなった。守備陣も主力選手を欠いている。ジョー・ジャッジ(ヘッドコーチ)は懸命にチーム再建を図っているが、またもや多くの危機に見舞われている。
29. ニューヨーク・ジェッツ、1勝4敗 (29)
ジェッツはザック・ウィルソン(クォーターバック)とマイケル・カーター(ランニングバック)の両新人が攻撃陣を引っ張っていることが好材料だ。しかし、チームに安定性が欠けるうえ、ランに対する守備力があまりにも弱すぎる。
30. ヒューストン・テキサンズ、1勝4敗 (30)
テキサンズは新人のデービス・ミルズ(クォーターバック)を中心に攻撃力のテコ入れを図っている、しかし、ペイトリオッツ戦では守備陣に粘りが足らず、試合終盤で逆転を許した。チームの士気は高いが、戦力的には見劣りしている。
31. デトロイト・ライオンズ、0勝5敗 (30)
ライオンズはダン・キャンベル(ヘッドコーチ)の下、全力で初勝利を目指している。しかし、攻撃陣と守備陣ともに戦力不足は隠せず、2試合続けて僅差で敗れている。
32. ジャクソンビル・ジャガーズ、0勝5敗 (32)
ジャガーズはタイタンズ戦で意外な健闘を見せたが、アーバン・マイヤー(ヘッドコーチ)の指揮には首を傾げる采配が目立った。トレバー・ローレンス(クォーターバック)とジェームズ・ロビンソン(ランニングバック)は随所に輝きを見せている。今後も守備陣が課題になるだろう。
(翻訳:角谷剛)