【インタビュー】NBA史上初のMVPを獲得したボブ・ペティット「最高のディフェンダーは…」

Bob Pettit Hawks

殿堂入りしているボブ・ペティットとの12分間のインタビューの間、彼が88歳であることを忘れてしまうほどだった。彼の回答はスマートで、主張がはっきりしていて遠慮がない――それは、1954年から1965年までの11年間におけるミルウォーキーとセントルイス・ホークスでのプレイスタイルと似ている。彼のいつでも全力を尽くす姿勢は、NBAチャンピオン、新人賞受賞、11度のオールスター出場、2度のMVP受賞につながった。

今回は、ペティットとの質疑応答を紹介する。ペティットは、現役時代のことやNBA75周年記念チームのアンバサダーとしての役割について語っている。

※編集部注:以下の対談は、要約・編集されています。


「ただやり過ごせる程度のハードワークしかする気がないのであれば、偉大な選手には決してなれない」

――(1956年に)NBA史上初のMVP(年間最優秀選手)になった感想は?

とても良い気分でしたね。ものすごく良いことでした。年を重ねるごとに、それはより重要になってきます。リーグ初のMVPになったこと、そこには意味があります。当時の私は興奮しましたが、同時にほかのことも考えていました。何が言いたいかというと、それが起きたときも重要ですが、年を重ねるにつれて個人としてさらに重要になるということです。

――NBAは、この歴史的な75周年記念シーズンのアンバサダーとして5人のレジェンドを選びました。あなたのほかに、オスカー・ロバートソン、クライド・ドレクスラー、ダーク・ノビツキー、マジック・ジョンソンが選ばれ、数か月後に(オハイオ州)クリーブランドで開催されるNBAオールスター2022では大きな役割を果たすことになります。アンバサダーに選ばれた感想は?

選ばれたことを光栄に思います。良いアンバサダーとは、ほかの誰かを代表している人ということです。ですから、今回のインタビューのようにメディアと一緒に何かをするときなどは、NBAをしっかりと代表して対応するつもりです。

――あなたは、6フィート9インチ(約206cm)で得点とリバウンドを量産する選手でした。2万点以上を記録したリーグ史上初の選手であり、2度の得点王も獲得しています。ご自身のゲームをどのように表現しますか?

私は主にパワーフォワードとしてプレイしましたが、私のゲームは、一生懸命プレイし、リバウンドを取り、チームメイトに私がジャンプショットを決められるようにセットアップしてもらうというものでした。ボールを持ったら、2~3回ドリブルして、ドライブしてレイアップを決めるか、ファウルをもらうのです。

私のジャンプショットは非常に良くて、フリースローラインの辺りから打つことができました。当時は3ポイントラインがなかったので、3ポイントショットは打ちませんでしたが、ゴールから15~18フィート(約4.5〜5.5m)の範囲ならかなりの精度で決めることができました。

――1956年にはリバウンドでリーグ首位になりましたが、何がその要因になったのでしょうか?

私が最も誇りに思っているのが、リバウンドです。私の記憶では、11年間で1試合平均16リバウンド以上を記録しました(※レギュラーシーズン792試合で1試合平均16.2リバウンドを記録)。チームメイトがボールを打つとき、私はボールを見ずに、対戦相手を見ていたのです。リバウンドを取られないようにと私のことを守っている選手に集中し、ポジション争いで相手をかわし、ボールが跳ね返ってくる場所に入り込みました。基本的には、ゴール下で押し合いをしていました。

もうひとつは、試合に出ている間は全力でプレイしたことです。休んだことは一度もありません。試合中にリラックスしたり、「今回はボールを取りに行かない」と思ったこともありません。それはしませんでした。すべてのオフェンシブリバウンドを取りに行きました。チームメイトがシュートするたびにボールを取りに行ったのです。一度や二度ではなく、毎回です。長い目で見れば、それが本当に結果につながりましたね。

――これまでに対戦した中で最もタフな相手は誰ですか?

もちろん、ビル・ラッセルは最高のディフェンダーですが、私とは対戦しませんでした。彼のチームにはトム(サッチ)・サンダーズがいて、非常に優れたディフェンスをする選手でした。キャリア初期には、メル・ハッチンズという選手が、私に対して素晴らしいディフェンスをしました。この2人は、本当に優れたディフェンス選手だと思いますね。総合的には、どこにいるかを常に意識していなければならない最高のディフェンダーは、ビル・ラッセルです。もし彼がどこにいるかを意識しないと、強烈なブロックをされますから。

――NBAは広く成功していますが、このリーグの人気に最も影響を与えたのは誰だと思いますか?

デイビッド・スターン(1984~2014年に務めた第4代NBAコミッショナー)はNBAの成功の原動力でした。NBAの成長と発展に最も大きな影響を与えた人物を一人選べと言われれば、彼だと思いますね。彼がリーグに持ち込んだもの、彼が推し進めたもの、そして彼のアイデアは、非常に良い結果につながりました。

――今まで見た中で最高の選手は誰ですか?

レブロン・ジェームズやカリーム・アブドゥル・ジャバーなどと対戦したことはありませんが、彼らは間違いなく私の中でトップグループに入るでしょう。また、オスカー・ロバートソン、エルジン・ベイラー、ジェリー・ウェスト、ウィルト・チェンバレン、ビル・ラッセルなども選びますね。

ーーこれから活躍する若い選手にアドバイスはありますか?

ゲームに対する精神的な姿勢に取り組むように伝えたいですね。もっとジムで過ごしたほうが良いと思いますし、練習にも時間をかけたほうが良いと思います。良いシュートフォームを身につけるようにしてください。

ビッグマンはリバウンド力を伸ばさなければいけませんが、私に言わせれば、そのほとんどは精神的なものです。どのくらい本気で取りたいのか? そのためにどのくらいハードに努力する気があるのか? ただやり過ごせる程度のハードワークしかする気がないのであれば、偉大な選手には決してなれません。偉大な選手は、十分に練習したと感じることはないのです。私のように細身の選手は、ウェイトリフティングで筋肉をつけることですね。

原文:Q&A: Bob Pettit, the league's first-ever MVP by Maurice Brooks
翻訳:YOKO B Twitter: @yoko_okc

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