ファイナルの運命も左右し得るヤニス・アデトクンボの決定的ブロック

Giannis Antetokounmpo Milwaukee Bucks Deandre Ayton Phoenix Suns

7月14日(日本時間15日)のNBAファイナル2021 フェニックス・サンズ対ミルウォーキー・バックスの第4戦は、バックスが109-103で勝利を収め、シリーズを2勝2敗のタイに戻した。もしもバックスがシリーズを制したら、第4戦でヤニス・アデトクンボが見せたブロックは、代表的なプレイとなるかもしれない。

もちろん、シリーズはまだ続く。ヤニスやデビン・ブッカーに何が残され、この混乱のファイナルがどのように終わるかは、神のみぞ知る、だ。だが、ディアンドレ・エイトンを阻んだアデトクンボのブロックの影響に疑問の余地はない。バックスにとって、シリーズを救ったプレイかもしれない。

なぜなら、1勝3敗でフェニックスでの第5戦に向かうことになれば、バックスにとっては問題だったからだ。そして、アデトクンボのブロックは、緊張した接戦の残り74秒での出来事だった。試合がどちらのものになるかまだ分からない段階で、サンズが同点を狙おうとした際のプレイだった。

バックスは、この日42得点をあげたブッカーに2人をつけざるを得なかった。そのため、アデトクンボはスクリーンプレイでゆっくりエイトンを離し、ブッカーに近づいた。ここでブッカーは正しいプレイをする。エイトンに柔らかいパスを上げたのだ。だが、エイトンがフリーだったのは一瞬だった。

試合後、アデトクンボは「そういうプレイになると思ったんだ」と振り返っている。

「そうなると思った。僕の後ろで彼がロールするのを感じたんだ。間に合ってくれ、と思った。正直、ダンクされると思ったんだ。リングに向かってジャンプするのが、僕にとって唯一のチャンスだった」。

そして、そうなった。アデトクンボは右手でエイトンの両手ダンクを阻んだのだ。PJ・タッカーがリバウンドを拾い、バックスが相手コートへボールを運び、ファイサーブ・フォーラムは揺れ、流れが変わった。

自身の肉体を見せつけ、不敵な笑みを浮かべて拍手を浴びたアデトクンボは、試合後に「すごく興奮したよ」と話している。

「あの瞬間を楽しもうとしたんだ」。

NBAファイナルの歴史には、数々の偉大な守備のプレイがある。ジョン・ハブリチェックのスティール、レブロン・ジェームズのチェイスダウン・ブロック、カール・マローン相手のマイケル・ジョーダンのスティールなどが思いつくだろう。それらのプレイは、優勝の行方に直接影響した。アデトクンボのブロックは、まだそれらの名高いプレイの仲間入りを果たしていない。少なくとも、今はまだ。

それでも、バックスのマイク・ブーデンホルザー・ヘッドコーチは「特別な瞬間だ」と話した。クリス・ミドルトンは「言葉が悪くて申し訳ないが、あれは×××な瞬間だったよ」と述べている。

ドリュー・ホリデーは「あれがエリートだ。エリートのブロックだ。特に試合のああいうポイントだったからね」と述べ、パット・カーナトンは「衝撃と畏怖。歴代最高のブロックだ。もちろん、僕らは少し偏った見方だろうけどね。それくらい印象的だった」と話している。

あのブロックで、アデトクンボは守備のエースとして、大舞台に強い選手としての評価を高めた。第2戦と第3戦で各40得点超を記録し、第4戦では守備で魅せたのだ。0勝2敗と連敗スタートを切ったシリーズで、バックスにまだチャンスがある理由は、アデトクンボにある。

一方、サンズはクリス・ポールにとって悪夢の試合だった。誰もが知るクリス・ポールではなかった。疲れや混乱、ショックが見受けられ、試合の大半でケアレスミスを犯した。37分間の出場で、ターンオーバーは5。この3試合で15ターンオーバーという数字だ。

最後の1分でよろめき、ボールのコントロールを失ったことが、この日の彼を表している。最後に舞台がポールにとって大きすぎるように見えたのはいつだろうか。“ポイント・ゴッド”のこのレベルのメルトダウンは、いつ以来だろうか。

ポールは「僕のせいだ」と話した。

「僕の決断が悪かった」。

バックスに来てからもっとも重要な試合で、アデトクンボは文字通りに大きな手を貸した。舞台はこれからフェニックスに戻る。シリーズの行方がどうなるか分からなくなり、サンズはぼう然と、少し混乱もしているかもしれない。そのサンズに一発見舞ったのは、アデトクンボのブロックだった。

原文:Giannis Antetokounmpo's clutch block helps Bucks even Finals by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


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