オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)に敗れ、WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一王座から陥落して以来、アンソニー・ジョシュア(英国)は米国で著名なトレーナーたちに接触している。新コーチ探しの旅の一方で長年のコーチであるロブ・マクラッケンとの関係に終止符を打つのかが争点にされていたが、プロモーターのエディー・ハーン代表は、"関係維持"を明言した。
ジョシュアと生涯プロモーション契約を結ぶマッチルーム社のエディー・ハーン氏は、現在ジョシュアが米国で著名トレーナーのジムを訪れ、ウシクへのリベンジのための"新コーチ"探しの旅を続けていることに関連し、「ロバート・マクラッケンと関係を断ったワケではなく、別のトレーナーに切り替えるワケでもない」と話したと、専門メディア『Boxing Scene』は伝える。
ジョシュアは、カネロ・アルバレスのコーチであるエディ・レイノソを皮切りに、ノニト・ドネアやマイキー・ガルシアを育てたロバート・ガルシア、ジャーモール・チャーロやキャリア晩年のマイク・タイソン、イベンダー・ホリフィールドを指導したロニー・シールズ、アンドレ・ウォードやアミール・カーンのコーチで知られるヴァージル・ハンターらと接触した。
なかでもシールズは具体的なコーチングに興味があることを表明していたが、ハーン氏は「(ジョシュア)彼はただ学ぼうとしているだけだと思います。彼は(著名なトレーナーたちから意見を貰い)自分のスタイルを分析し、改善する方法を探ろうとしているんです」と所見を述べたという。
こうしたジョシュアのトレーナー行脚について、外野から批判的な声も挙がっている。WBC同級暫定王者のディリアン・ホワイト(英国)は、「マクラッケンは素晴らしいトレーナーだ。彼がカール・フローチや(アマチュアボクシング)英国代表チームやほかの選手のために何をしてきたか見ればわかるだろ。負けたら言い訳を探し始めるんだ。『ああ、私は負けて十分に眠れなかった、多分それはコーチのせいだ』ってね」と皮肉った。マクラッケンの指導でフローチはWBC、WBA・IBF世界スーパーミドル級王者になり、英国代表チームはロンドン金メダルのジョシュアを始めとする多くのメダリストを排出している。
ホワイトは「ジョシュアの問題は彼自身にある。彼のコーチが理由じゃない。あくまで彼の問題だ」と切り捨てた。なお、ホワイト自身は、10月30日に予定されていたオットー・ワーリンとの暫定王座戦をわざとケガとして回避したという疑惑があるが、「私は(本当に)ケガを負った。戦いたかったさ。医者からは戦うならキャリアを危険にさらすだろうと言われたんだ」と潔白を主張している。
いずれにせよ、少なくとも当事者であるマクラッケン自身からも関係解消の表明はない。長年の主任コーチとして、悩めるジョシュアに探求の時間を与えたというのが大筋なのかもしれない。