年内一杯の入国禁止開始…フィギュア、格闘技などスポーツにも大きな影響か

2021-11-30
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日本政府は11月29日に発表した通り、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の世界的な急拡大を受け、30日0時をもって、全世界を対象に外国人の入国を禁止した。スポーツ界にも大きな影響を与えている。

岸田文雄首相は首相官邸での会見で「最悪の事態を避けるため」の措置だと述べ、当面1か月、年内一杯を対象とした。しかし、国内スポーツ界では寝耳に水の入国禁止措置となり、各所対応に追われる事態となっている。

12月9日から12日にかけて大阪門真市で行われるフィギュアスケートのグランプリファイナルには、グランプリシリーズ(GP)の上位成績者である宇野昌磨、鍵山優真、ネーサン・チェンやビンセント・ジョウ(ともに米国)や女子では坂本花織に加え、カミラ・ワリエワ、アンナ・シェルバコワらロシア勢など世界を転戦するトップスケーターが出揃う予定だ。コロナ禍の影響で昨季は中止されたことで2年ぶり、さらに日本では4年ぶりの開催とあって、選手関係者やファンも心待ちにしていた。

日本スケート連盟は政府の発表以来、スポーツ庁などに対して情報収集に追われたが、「現状では何もわからない」という。ワクチン接種など確認が取れているアスリートに対する特例措置があるのかなど、具体的な見解を述べるに至っていないが、現時点で出場予定の外国人選手は入国していない。ただ、同大会はすでに開催まで日にちもないため、中止を求める声も挙がっている。

グランプリファイナルは来年2月開催の北京冬季五輪日本代表選考会のひとつとなっており、国外への延期あるいは中止になると準備期間にも大きな影響が及びかねない。

ボクシング界でも12月に世界タイトルマッチを5試合予定しているが、12月14日のWBA・IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥のタイトルマッチは、挑戦者のIBF同級5位アラン・ディパエン(タイ)が11月28日に入国済だったことで影響を免れた。

一方、なかでも影響が少なくないのが、日本ボクシング界過去最大のファイトマネーが動くともいわれる、ロンドン五輪ミドル級金メダリストでWBA世界同級スーパー王者・村田諒太と、ミドル級のリビングレジェンド、IBF同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との統一戦(12月29日、さいたまスーパーアリーナ)だ。タイミング次第では再実現が難しくなるメガマッチだけに、入国禁止措置の衝撃は大きい。

ここ数年恒例になっている大晦日ボクシングマッチも不透明だ。日本人男子初の4階級制覇王者で現WBO世界スーパーフライ王者の井岡一翔と、IBF同級王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)の統一戦が大田区体育館で行われる予定だが、こちらも現時点で何もわかっていないという。

同じく大晦日興行が恒例となっている総合格闘技RIZINにも当然影響が及んだ。30日午後、12月31日の「RIZIN.33」(さいたまスーパーアリーナ)に、初代RIZINライト級王者ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル/ボンサイ柔術)の出場が発表されたものの、榊原信行CEOが「外国人選手の入国が予定通りに進めばライト級タイトル戦。入国できない場合、タイトル戦が組めなくても(代替選手との)試合は成立させられるように準備を進めていきたい」と話したように、他の試合についても国内在住選手のみのラインナップになることも想定される。

また、海外遠征中の選手の帰国後の対応も不明となっている。入国禁止措置が来年も延期になれば、さらに影響が拡大することは必至だ。北京五輪までほとんど時間がないなか、当該競技の選手たちにとって、検疫隔離などの拘束期間を強いられることは大切な時間のロスにもなる。あえて国外で調整を続けるという選択肢もでてくるが、11月にはドイツ合宿中だったスピードスケート日本選手代表団のクラスター感染があったばかりで、オミクロン株はまさしく欧州で急拡大しようとしている。

同30日には、ナミビアから日本に入国した外交官がオミクロン株に感染していたことが判明しており、飛行機に同乗していた70人が濃厚接触者と認定され、国内初感染例となっている。

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