フィギュアスケート女子・ペア・アイスダンス 総合力の高さで団体でのメダルを目指す:北京五輪プレビュー

2022-02-03
読了時間 約3分

北京冬季オリンピックのフィギュアスケートは、2月4日(金)の団体戦からスタートする。今大会は日本チームのメダル獲得に期待がかかる。団体での良い結果を残せば、個人戦に向けての弾みとなり、日本選手団としても幸先の良いスタートを切ることができる。団体戦から羽生結弦らの男子シングル、小松原美里/小松原尊のアイスダンス、坂本花織らの女子シングル、"りくりゅう"こと三浦璃来/木原龍一 のペアへといい流れをつなげるか。

いい流れをつかめるか、団体戦・日本チーム初の表彰台なるか

団体戦は10ヵ国が出場し、予選は男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスがそれぞれショートプログラム(SP、アイスダンスはリズムダンス=RD)を滑る。順位によってポイントが付与され、その合計点で競う。上位5チームが決勝に進み、フリースケーティング(フリー、アイスダンスはフリーダンス=FD)を演技し、最終順位が決まる。

この4年間で日本のフィギュアスケート界は、シングルだけでなくアイスダンスとペアのレベルも高くなっており、総合力も上がってきている。男女のシングルに関しては誰がエントリーするかまだ決まっていないが(2月1日時点)、誰が出場してもレベルの高い演技を見せてくれることだろう。

その後、男子シングル、アイスダンス、女子シングル、ペアの個人戦が行われ、大会最終日にエキシビションが行われる。大会初日から最後までフィギュアスケートから目が離せない。

【団体 競技日程】

  • 2月4日(金)男子シングル・SP、アイスダンス・リズムダンス、ペア・SP
  • 2月6日(日)女子シングル・SP、男子シングル・フリー
  • 2月7日(月)ペア・フリー、アイスダンス・フリー、女子シングル・フリー

【男子シングル 競技日程】

  • 2月8日(火)SP/10日(木)フリー

【アイスダンス 競技日程】

  • 2月12日(土)リズムダンス/14日(月)フリー

【女子シングル 競技日程】

  • 2月15日(火)SP/17日(木)フリー

【ペア 競技日程】

  • 2月18日(金)SP/19日(土)フリー

世界に挑む女子シングル、アイスダンス、ペア

女子シングルは坂本花織、樋口新葉、河辺愛菜の3選手が出場する。坂本は平昌五輪に続いて2大会連続での出場だ。前回の五輪はシニア1年目ながら、シーズンが進むにつれて調子を上げていき、2枠という五輪代表の座を掴み取った。今シーズンはNHK杯優勝、日本女子唯一のグランプリファイナル進出(開催中止)、全日本選手権優勝と、安定した演技で結果を残している。2018年の平昌五輪では6位入賞、今大会はそれ以上の結果も十分に狙える位置にいる。

樋口は前回の代表争いで惜しくも涙をのんだ。その悔しさを糧に、4年間で基礎点の高い3回転アクセルを習得。その努力が実を結び、今シーズンは試合での成功率も上がってきた。五輪は初出場だが、2018年世界選手権で銀メダルを獲得するなど、大舞台で結果を残している実力者だ。昨年の全日本選手権でも見せた勝負強さを五輪の舞台でも期待したい。

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シニア2年目の河辺は今シーズン試合を重ねるごとに、調子を上げてきた。NHK杯2位、全日本選手権3位と大躍進を遂げた。ジュニア時代から3回転アクセルを跳んでおり、全日本選手権ではショートプログラムとフリーで成功させた。シニアに上がってから世界選手権などの国際試合の経験はないが、レベルの高い日本女子の中で掴み取った夢の切符。その自信を胸に五輪に臨んでほしい。

アイスダンスは小松原美里/小松原尊の夫婦カップルが初めての五輪に臨む。2人は2016年からパートナーを組み、2018年の全日本選手権から4連覇中と現在の日本アイスダンス界をけん引している。ティム・コレトは2020年に日本国籍を取得し、小松原尊という日本名を得た。

シーズンを重ねるごとに2人の息が合い、エレメンツのつなぎも滑らかになってきている。とくにフリーの「SAYURI」は、表現力においても高く評価されている。昨年の日本選手権では、気迫のこもった演技でスタンディングオベーションに包まれた。五輪では、日本最高の15位以上の結果も期待できる。

ペアは三浦璃来/木原龍一 組が出場する。「りくりゅう」の愛称で親しまれ、三浦は初出場、木原はソチ・平昌大会につづいて3大会連続での出場となる。木原と三浦がペアを結成したのは2019年。まだ3シーズン目だが、成長著しい2人に国内外から注目が集まっている。

今シーズンはグランプリシリーズ・アメリカ大会2位、NHK杯3位と2大会連続で表彰台に上り、上位6組が出場できるグランプリファイナル進出を決めた。確実にレベルを上げているが、何より2人が楽しそうに滑る姿も彼らの魅力の一つである。木原はこれまで2回出場しているがフリー進出は叶わなかった。今大会は悲願のフリー進出だけでなく、入賞以上の可能性も大いにあり得る。

全種目でROC勢がメダル候補

女子シングルはROC(ロシアオリンピック委員会)勢が圧倒的な強さを誇る。カミラ・ワリエワ、アレクサンドル・トゥルソワ、アンナ・シェルバコワの3選手は、平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワ、銀メダルのエフゲニア・メドベージェワを輩出したエテリ・トゥトベリーゼ コーチの門下生である。

全員3回転アクセルや4回転ジャンプといった高難度ジャンプを武器に持つ。ジャンプだけでなくステップ、スピン、全てのエレメンツのレベルが高い。特に15歳のワリエワは今シーズン、ショートプログラム、フリーともに世界歴代最高得点を更新し、金メダル最有力候補だ。

ペアは前回大会銀メダルの「スイハン」こと、スイ・ウェンジン/ハン・ツォン 組(中国)が出場する。三浦の憧れの存在であり、SNSのアイコンは隋文静との2ショットだ。開催国として金メダルに期待がかかる。また、グランプリシリーズ2連勝、欧州選手権優勝と、今シーズン絶好調のアナスタシア・ミーシナ/アレクサンドル・ガリアモフ 組(ROC)にも大注目だ。

アイスダンスでは平昌五輪銀メダルの「パパシゼ」こと、ガブリエル・パパダキス/ギヨーム・シゼロン組(フランス)に注目が集まる。1つ1つのエレメンツの質が非常に高く、世界選手権4回優勝、欧州選手権4連覇という実績を誇る。また、ビクトリア・シニツィナ/ニキータ・カツァラポフ 組(ROC)も金メダル有力候補で、今シーズンはグランプリシリーズ2連勝、欧州選手権優勝と、今シーズンも安定した演技を魅せている。五輪では「パパシゼ」との一騎打ちが予想される。

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