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渡邊雄太 復帰戦後会見コメント全文「この瞬間を待ち望んでいた」

2021-11-25
読了時間 約4分

開幕19試合目にして今季初出場

11月24日(日本時間25日)、トロント・ラプターズの渡邊雄太がテネシー州メンフィスのフェデックス・フォーラムでのメンフィス・グリズリーズ戦で今季公式戦初出場を果たした

10月6日(同7日)に「左ふくらはぎの張り」(チーム発表)のため翌7日(同8日)のフィラデルフィア・76ersとのプレシーズン第2戦を欠場すると発表されて以来、およそ7週間、10月下旬の開幕から約1か月にわたって戦線離脱していたが、ラプターズにとって今季19試合目となったこの日、開幕後初出場を果たし、自身NBA4年目のシーズンの開幕を迎えた。

途中出場で約14分プレイした渡邊は、2019-20シーズンまで2シーズンを過ごした古巣を相手に3得点、3リバウンド(2オフェンシブリバウンド)、2スティール、2ブロックを記録し、126-113での勝利に貢献。渡邊は試合後の記者会見に登場し、現地メディア及び日本メディアからの多くの質問に応えた。

以下、試合後の質疑応答全文(前半は英語での質疑応答の翻訳、後半は日本語での質疑応答)。


今夜は全てが最高

――復帰戦の感想。

渡邊:この瞬間を1か月半待ち望んでいただけに、最高でした。シュートはあまり良くなかったですが、勝てたことが何よりも嬉しいです。全ての瞬間を楽しみました。

――メンフィスでの凱旋試合となったが。

渡邊:そうですね、ここに戻ってきて、昔のチームメイトと対戦できたのも良かったです。今夜は全てが最高でした。

――ケガで遅れをとってしまったが目標は変わらない?

渡邊:目標はこれまで通りで、何も変わっていないです。バスケットボールをやっている以上、ケガはいつだって起こり得るものです。身体はしっかりケアしていましたし、食事も睡眠もしっかり管理していましたが、それでもケガをしました。そういうものです。でも目標は変わっていません。チームが勝利するために貢献し、プレイオフに出場したいという想いは変わっていません。

――この1か月半は、かなり苛立ちもあったと思うが、振り返ってみてどうだった?

渡邊:ストレスは溜まりました。バスケットボール選手にとって、プレイできないことほどストレスが溜まることはありません。そんななか、コーチ陣やチームメイトが常にコミュニケーションを取ってくれ、トレーナーにもものすごくケアしていただいて、プレイしていないながらも、自分のやるべきことに集中することができたので、とても感謝しています。ストレスは大きかったですが、とても忙しい夏を送っていたこともあって、少し休めることができたのはもしかしたら良かったのかもしれません。

――離脱中、チームメイトからの声かけなどは結構あったのか?

渡邊:常に話しかけてくれていました。「無理するな」「焦らなくていい」といった言葉をかけてくれていました。僕自身としてはすぐにでも復帰したいという気持ちが強かったのですが、彼らが無理をしないように仕向けてくれました。常にコミュニケーションをとれたことで、僕も少し落ち着くことができました。ここ数か月のサポートには本当に感謝しています。

100回チャンスがあれば、100回跳びます

――第4クォーターのブロック、以前痛い目にあったにもかかわらず跳び続けているが、ディフェンスのメンタリティーについて。

渡邊:前にも言った通り、僕は何度だって跳びます。100回チャンスがあれば、100回跳びます。それが僕のプレイなんです。コーチがチャレンジしてくれて、成功したので良かったです。ハッスル、エナジー、そういったものは僕がチームに持ち込めるものだと思っています。これからもチャンスがあれば、何があろうと僕は跳び続けます。これからもハッスルを続け、チームにエナジーをもたらしたいです。

第4Q残り10分55秒、ディロン・ブルックスのドライビングダンクをブロックする渡邊雄太。当初渡邊のファウルと判定されたが、コーチズチャレンジで見直された結果、判定が覆った

――トロントや世界中の復帰を待ち望んでいたファンに向けてメッセージは?

渡邊:いつも応援してくれて本当に感謝しています。プレイできていないながらも、ファンからの応援は届いていました。トロントの素晴らしいファンの前でプレイできるのをとても楽しみにしています。

(以下、日本語での質疑応答)

――(第4クォーターのブロックショットの場面)1回しかないコーチズチャレンジをヘッドコーチがあそこで使ってくれたことについて。

渡邊:その前のプレイもゴールテンディングだったんじゃないかと思っていました。クリップを見ていないのでわからないですけど、その直後か次のプレイか忘れましたけど、個人的には2回連続で自分のプレイが審判によって左右された部分があったので、あそこでチャレンジしてくれたっていうのはすごくありがたかったです。僕もあれはクリーンブロックだと思ったので、チャレンジしてくれたのは嬉しかったです。

――当初アキレス腱のケガだと思ったということだったが、もしかしたら1年以上休まなければいけないかもしれないと気づいたときに考えたことや、キャリアについての考え方に変わったことなどはあったか。

渡邊:アキレス腱だとは思いましたが、切れたとまでは頭によぎりませんでした。すぐトレーナーが診てくれて『アキレス腱の状態は普通だ』と言ってくれたので、アキレス以外の故障なのかなというのはすぐにわかりました。ケガが起こってからトレーナ陣が伝えてくれるまでの時間がすごく短かったので、これから1年以上バスケットができないのか、みたいなことは考えはませんでした。ただ単純に、時期的にプレシーズン1試合目が終わって、個人的に良いプレイできたと思っていた直後だったので、このケガが自分の状況に影響する可能性はあるな、というのはすごく考えました。

――肉離れだったのか。

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渡邊:(左足の)足底筋が切れました。足底筋断裂ですかね。

グリズリーズでの2年間はとても大切だった

――試合前にナースHCが「たとえ得点しなかったとしても、チームに得点機会をもたらしてくれる選手だ。それを期待している」というような話をしていた。今日はそういうプレイができたと思うが、そいうところについてどう誇りに思っている?

渡邊:自分がカッティングするとか、良いスペースを見つけて入ることによって、味方がよりドライブしやすくなったりだとか、そういう部分は去年からできていた部分だと思う。そこに関しては信頼を得られていると思います。ただ、今日も簡単なシュートを外してましたし…得点できなくても評価してもらえているのはありがたいですけど、得点の部分でももっとアピールしていかないといけないなと思っています。ただ、今日は久しぶりの試合ということで、今後、今日みたいなオープンなシュートはしっかり決めていけたらなと思います。

――グリズリーズ戦なので復帰できたら良いなという話をされていたが、フェデックス・フォーラムでの試合は(移籍後)2回目。ここでプレイするのはどういう意味で特別?

渡邊:いろんな意見を周りから聞くんですけど、僕自身はグリズリーズでの2年間はとても大切だったと思っています。あの2年間でいろんな準備ができたと思うし、僕自身もすごく成長できたと思う。このコートでプレイした時間は少なかったですけど、それでもここは僕がNBA選手として初めてコートに立った場所でもありますし、本当にいろんな思い出が詰まった場所でもあるので、感慨深いものはありました。試合に入ったらいつもどおりのプレイをしようということでそこは考えなくなりましたけど、改めて試合が終わって前のチームメイトとかコーチ陣と話して、ここは自分にとって意味のある特別な場所だな、ということを再確認しました。

――これからもずっとそうだろうなという感じ?

渡邊:そうですね。

――ナースHCは試合前に渡邊選手のことを「プレシーズンは最高の状態だった」と話していた。今日やってみてどれくらい戻っている感じ?

渡邊:足の痛みが完璧に取れているわけではないです。切れてしまっているので、これ以上悪くなることはないと言われています。この痛みは多少、今後も続いていくと思うんですけど、プレイができるだけの回復はしていますし、トレーナー陣ともしっかり話して迎えた今日だったので(大丈夫)。体の調子自体は、完璧とまではいかないですけど、良くはなっていると思っています。

ただ、約2か月バスケがほぼできていなかった分、試合勘だったりシュートタッチだったりとか、錆びてしまっている部分は絶対にあるので、そこは今後、試合や練習のなかでしっかり修正していきたいです。プレシーズンのときの自分は良かったと思いますし、かなり自信があったんで、あのときの状態に戻して、さらに良くしていけるようにしていけたらと思います。

――ひとつめのファウルのときはクローズアウトしていって、ちょっと接触があってそれを吹かれた。感覚的にはどうだった?

渡邊:もうちょっと良いクローズアウトをしないといけないなと思いました。あのファウルが試合にすごく影響したというわけではないんですけど、ああいう簡単なファウルは吹かれないほうがいいと思いますし、自分はクローズアウトは絶対にもっとうまくできるはずなんで。そういう部分でまだ錆びている部分を感じました。

体が限界に来ていたのかな

――1年前の立場だったら(契約的に)致命傷になるケガだったと思うが、1年前と違う自分の立場についてどう感じている?

渡邊:ケガが治ったとはいえ、試合に絡めるのかという心配は正直ありました。どこまで自分がローテーションの一員として出られるだろうというのは、心配ではありました。今日は約14分、ケガ明けなのにこれだけ使ってもらえたというのは、それなりに信頼を得られている証拠かなと思うので、すごく嬉しかったです。

個人的にはもう少し良いプレイをしたかったんですけど、何より大事な勝つことができて、自分もオフェンスはいまいちでしたけどディフェンスの部分で良い貢献ができたと思うので、これでオフェンスの部分も修正していけば、さらに信頼してもらえるんじゃないかなと思います。今日の反省するところはしっかりと反省して、また次につなげていきたいです。

――故障中、ストレスの多い時間だったと思うが、どう乗り越えたのか。

渡邊:ケガしてしまうのはしょうがないです。健康でいるための体のケアだったり、睡眠、食事というのは自分は間違いなくやれていたので、あれだけやってケガしてしまったらしょうがないというふうに思うようにしました。この夏、オリンピックの準備のときから、サマーリーグには出場しなかったですけどそこに行ってワークアウトをしたりとか、ラプターズはプレシーズンもかなりハードに練習していたので、体が限界に来ていたのかなと。

もしあそこで小さなケガをしていなかったら、もっと大きなケガ、それこそアキレス腱だったりとかの可能性もあったんじゃないかなと思うので…焦る気持ちはありましたけど、「今は休め」と言われていると思って、休むところは休んで、ほかにできることをやろうと前向きに捉えるようにしていました。

――ケガで離脱した場合、これまでは早く復帰して結果を残さないとという気持ちだったと思うが、今回の負傷離脱は契約が保証されている状態だった。これまでと気持ちに違いはあったか。

渡邊:NBAに入ってからこれだけ長く離脱したのは今回が初めてだったので、2ウェイ(契約)だったときと比較するのは難しい部分があります。ケガというのを後ろ向きに捉えずに、いい意味で捉えようと心がけていました。もちろん焦りやプレイできない苛立ち、フラストレーションはかなりあったんですけど、1か月半、約2か月という離脱はNBAに入って初めてなので、ちょっと(比較するのは)難しいです。

――(第4Qのブロックのときの)チャレンジについて。渡邊選手からアピールした?

渡邊:全く(しなかった)です。吹かれた瞬間にすぐに手を挙げていると思います。吹かれたのでしょうがない、というくらい(の気持ち)でした。あそこでチャレンジを使うとは思ってなかったので、別にアピールもせず、自分のファウルだと受け止めようと思っていました。あれはコーチがやってくれたことで、自分は特にアピールはしていません。

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