現地時間10月28日、ボクシングの五輪3冠・現役プロ世界女王として知られるクラレッサ・シールズ(米国)がプロ総合格闘技(MMA)挑戦2戦目で初黒星を喫した。"史上最高"ブランド失墜の女王だが、12月には"本職"のタイトルマッチで雪辱に挑む。
"GWOAT=Greatest Woman Of All Time(史上最高の女)"を豪語し、プロボクシング3階級制覇王者にして、現役のWBC・WBA・IBF世界女子ミドル級王者としてMMAに挑んでいたシールズが、PFL参戦2戦目で早くも黒星を喫した。それもデビュー3戦目の新人ファイター、アビゲイル・モンテス(メキシコ)にだ。
1ラウンドはけん制のパンチで期待値を上げたシールズだが、2ラウンドには早くもモンテスにテイクダウンを奪われ、初戦でも見受けられたグラウンドワークの課題が露わに。3ラウンドも結局転がされると金網際に追い込まれ、時間切れまで抜け出せぬままパウンドを浴び続けた。内容的には判定1-2で済んだけマシな負け方だった。
シールズにとって格闘人生最初の挫折ともいえる敗戦に、友人で女子MMAレジェンドのクリス・サイボーグは「貴方は若くて勇気があり、自分自身に挑戦することを恐れない姿勢は最高。名誉が傷つくことを恐れず、全世代の女性を鼓舞するようなその生き方が、貴方自身を強固なものにしているのよ!」とエールを送ったとボクシング専門メディア『WBN』は伝えた。
かたや、シールズから「お前の前座で試合なんて絶対にやらない」などと名指しで口撃されていた人気YouTuberでプロボクサーのジェイク・ポールは、その敗戦に対し「カルマ(業)ってやつだな」と皮肉った。さらにテキスト画像で、「怒りと憎しみに飲まれると、敗北がやってくるのさ。(前例者の)ロンダ・ラウジーとコナー・マクレガーに聞いてみなよ。(中略)彼女は柔術を学ぶよりもジェイク・ポール様を攻撃することに夢中だったようだ」とこき下ろした。
ブランド失墜の黒星となったが、シールズのボクシングでのプロモーター、ドミトリ・サリータ氏は、シールズには大きなダメージは無いとし、「ボクシングが彼女の領域」と強調。12月11日には英国でエマ・コジン(スロベニア)とのWBC・WBA・IBF世界女子ミドル級タイトルマッチが予定されている。
コジン戦のその先には、WBO世界女子ミドル級王者サバンナ・マーシャル(英国)との"因縁の統一戦"を見据える。実はマーシャルは、シールズがアマチュアボクシング時代に唯一敗れた相手。2012年5月のオリンピック予選において、14-8でシールズをくだした。今回のMMA初黒星以上に、「(シールズは)ボクシングでの唯一の敗戦を払拭することで、彼女がボクシングGWOATであることを証明し続けることに意欲を見せていますよ」とサリータ氏は述べている。
シールズは休養をとったあとコジン戦に向けボクシング練習を開始する予定だが、コジン戦に勝てばMMAキャリアを再開するという。PFLとの契約は3年契約のため、シールズ自身「あと2年。まだ終わってない」と述べている。そしてすべてが上手くいけば、シールズ対マーシャルのボクシングマッチは2022年春に行われる見込みだ。