今季自己最多23得点の富永啓生に元NBAの指揮官「彼は単なるシューターじゃない」

2021-11-29
読了時間 約3分

ネブラスカ大転入後自己最多となる23得点

11月27日(日本時間28日)、NCAA(全米大学体育協会)ディビジョン1のバスケットボール男子、ネブラスカ大学に所属する富永啓生が、ネブラスカ州リンカーンのピナクル・バンク・アリーナにて行われたサウスダコタ大学戦にベンチから出場し、転入後自己最多となる23得点の活躍を見せた。試合は83-70でネブラスカ大が勝利し、今季公式戦の戦績を5勝2敗とした。

富永は、ネブラスカ大5点ビハインドの前半残り約10分にベンチから出場すると、2本連続で3ポイントショットを決める。この連続ショット成功が、公式戦ここまで6試合で3Pショットを19本中4本しか決められていなかった富永に火をつけた。この後、富永は3Pショットをもう1本沈め、ネブラスカ大は31-29と逆転に成功する。

前半だけで13得点(フィールドゴール6本中4本成功、3Pショット4本中3本成功、フリースロー2本中2本成功)、2アシストを記録した富永の勢いは後半も止まらない。

後半残り12分36秒から出場した富永は、さらに2本の3Pショットを含む10得点、2スティールをあげ、ネブラスカ大の3連勝に大きく貢献した。

この試合、富永は今季自己最長の23分の出場で、3Pショット6本中5本成功を含むFG11本中8本を成功させ、チーム最多の23得点、2アシスト、2スティールをマーク。今季3度目の二桁得点をあげたほか、得点とアシストで今季自己最多を記録した。

富永の活躍について、ネブラスカ大のフレッド・ホイバーグ・ヘッドコーチは「彼が本領を発揮するのは時間の問題だった」と試合後に語っている。

「彼のシューティングは素晴らしい。そのシューティングこそが彼をここまで導いてきたんだ。彼の活躍は私たちにとって完璧なタイミングだったし、あんな風に活躍するのを見るのは嬉しい」。

さらにホイバーグHCは「昨日、彼と一緒にシュート練習をした」と続ける。

「彼がいかに優れたシューターかを知っているので、彼にはあまり言うことはなかったが、シューターの性質として、ミスをすると少しでもリムに近づこうとしたり、ボールを置きに行こうとしてしまう。だから、コートで自信を持ってシュートを打ち、自分のストロークを信頼できるように練習をした」。

「あれは大きなプレイだった。啓生の賢さがわかるプレイ」

富永はこの試合、大事な場面でチームにエナジーをもたらすプレイを数多く見せた。

そのひとつが後半残り10分43秒に、サウスダコタ大のインバウンドパスをゴール下でスティールし、レイアップを決めたときだ。

「あれは私たちにとって大きなモメンタムのきっかけになったと思う」と、ホイバーグHCは富永のスティールを振り返る。

「相手に7点差まで詰め寄られあと、私たちが3Pショットを決めて、啓生がスティールから得点してリードを12点差に広げることができた。あれは大きなプレイだった。啓生の賢さがわかるプレイだったね」。

また、前半終了間際には連続アシストも記録するなど、富永は試合全体で攻守にわたってチームを活気づけた。

「彼は単なるシューターじゃない」と、10年のキャリアを誇る元NBA選手でもあるホイバーグHCは言う。

「彼を獲得したときからそう言ってきたし、彼と契約したときにあなたたちも彼のゲームのほかの要素を見ているはずだ。彼は素晴らしいIQを持っている」。

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「ディフェンス面でも忠実に努力し奮闘する。私がNBAで最初に指導を受けたのはラリー・ブラウンだったが、彼は『ディフェンス面での努力が試合の90%を占める』と言っていた。それをやっているのが啓生だ。彼はすべてのポゼッションで戦うんだ」。

富永のもたらすエナジーがチームメイトにも認められていることは、彼が3Pショットを決めるたびにチームメイトが自分のことのように喜ぶ姿からもわかる。

「彼はとても人気者だ」とホイバーグHCは話す。

「彼がどれだけ努力しているか、どれだけ気持ちが入っているか、みんなわかっている。決して文句を言わない。私が言っていることを理解していないという部分もあるかもしれないけどね。彼は一緒にいて楽しいタイプなんだ。いつも笑顔を絶やさない。みんな彼が大好きなんだよ」。

チームメイトのブライス・マギャウワンズも「彼は素晴らしい選手です」と試合後に語った。

「なんと言えばいいかわからないけど、アメリカ国外からこのチームに来てあれだけのエナジーを試合にもたらしてくれること、そこが(ほかの選手とは)何か違うんです」。

「子供の頃からNBAをたくさん見て、楽しさを表現することを学んだ」

そのマギャウワンズと並んで、転入以来初めて英語で記者会見に臨んだ富永は、自身のショットについて「シーズンの出だしはちょっとナーバスでした」と振り返る。

「シュートのときにちょっと力が入りすぎていたので、リラックスするようにしました。練習して、打ち続けて、だんだん慣れてきたと思います」。

短大からNCAAディビジョン1への適応に関しては「もちろんレベルは高いので、もっとフィジカルで強くならなければいけない」と話す。

「タフネス、エナジー、すべてのレベルでもっと良くならなくてはいけないと思っています」。

5本の3Pショットを成功させた富永は、そのたびに派手なセレブレーションで会場のファンを盛り上げた。その情熱あふれるジェスチャーについて聞かれると「子供の頃からNBAをたくさん見て、楽しさを表現することを学びました」と笑顔を見せた。

そして最後に、試合の一番好きなところを聞かれた富永は、しばらく考えてからこう答えた。

「勝つことです」。

次戦、ネブラスカ大は12月1日(同2日)にNC(ノースカロライナ)ステイト大学とノースカロライナ州ローリーのPNCアリーナで対戦する。

写真提供:ネブラスカ大学
Photo courtesy of University of Nebraska

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