前WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一王者アンソニー・ジョシュア(英国)が、現王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)との再戦に向けて、マイク・タイソンら名だたる世界王者を育てた名コーチ、ロニー・シールズ氏に接触していたことが、英国紙『Daily Mail』や『Independent』で伝えられた。
9月25日のウシク戦で12回判定負けを喫したジョシュアに対し、業界関係者やメディアから"戦略ミス"を指摘する声も多かった。ヘッドコーチのロブ・マクラッケンは、ジョシュアがロンドン五輪のときから師事し、以来、強い師弟関係で結ばれてきたが、今回の敗戦により周囲からコーチ変更を促す声も挙がっていた。
そんななかジョシュアが渡米し、カネロ・アルバレス(メキシコ)のトレーナーであるエディ・レイノソのジムなど著名なボクシングジムを視察していることがわかった。マイク・タイソンらを育てたボクシング界の名伯楽として知られるロニー・シールズ氏においては、ジョシュアをコーチングすることに興味があるかについて問われたと明かしている。
「(ジョシュア陣営)彼らは私に連絡を取り、私がジョシュアを指導することに興味があるかどうかと、彼が(ジムのある)テキサスに来てうまくフィットするかどうか見てみないかと聞かれた」ことを専門メディア『ThaBoxingVoice』から受けた電話インタビュー明かしている。シールズに師事するエフェトボル・アポーチ(ナイジェリア)のInstagramには、そのトレーニングセッションの模様を収めた動画が投稿された。
近年ではWBC世界ミドル級王者ジャーモール・チャーロ(米国)を育て、かつてはマイク・タイソン、イベンダー・ホリフィールドらのレジェンド級ファイターのコーチとして名を馳せたシールズは、ジョシュアとの新たな関係構築について好意的な反応を示したようだ。
「私は『問題ない。我々が一緒にやっていけるかどうかを確認したいと思います』と言ったよ」
シールズは、ウシク戦の映像を見た上でジョシュアにアドバイスをしたという。2日間のトレーニングセッションで両者の関係は上手くいったようだ。
「我々は多くのことについて話し、(ウシク戦で)彼がすべきだったいくつかのことを指摘したりしたよ。(トレーニングセッションにおける)私たちの"ケミストリー(信頼関係)"は悪くなかったと思います」
シールズは"お互いに感触は良かった"という印象を述べている。現段階では、ジョシュアがマクラッケンとの師弟関係を継続しつつ、シールズを"客員戦略参謀"に迎えるのか、それともマクラッケンと袂を分かち、シールズをヘッドコーチに据えるのかは不明だ。もし、シールズの指導を受けるとすれば、ジョシュアは米国テキサスに拠点を移すことになると予想されている。