来年1月17日開幕の全豪オープン出場について未だ不透明となっている男子シングルス世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)について、前哨戦のATPカップでチームメイトになるはずだったドゥシャン・ラヨビッチが「彼は全豪OPに出るつもりだ」と主張したと、欧州スポーツメディア『Eurosport』が伝えた。
ジョコビッチは来年1月1日開幕の国別対抗戦ATPカップへの出場を取りやめたが、そこでセルビア代表としてチームメイトになるはずだったラヨビッチが、ジョコビッチが全豪OPに出場するつもりで動いていることを主張した。
全豪OPで実現すればビッグスリーでイチ抜けとなるグランドスラム通算21回目の優勝に加え、4連覇を目指すジョコビッチ。新型コロナウイルスのワクチン接種について私的な個人情報として開示を拒否していることは既報通りだ。オーストラリア政府と各開催都市は、全豪OP及び前哨戦においてもワクチン接種を義務化しており、そうでない場合は医学的免除を得る必要があるものの、ジョコビッチがそれをクリアしたかはわかっていない。
そうした状況を踏まえたうえでも、ラヨビッチは「(ジョコビッチは)ATPカップには来ないが、全豪OPには出ようとしている」と話したと『Eurosport』は伝えた。
「彼(ジョコビッチ)は 『私は彼ら(セルビア代表チーム)と一緒にATPカップには行けない。全豪OPだけを見ているんだ』と言ったんだ。彼は(オーストラリアに)来るか来ないかを明言せず、決定を待っていると言ったのさ」
ラヨビッチは、ジョコビッチがATPカップに参加しないことになり、セルビアチームへの周囲の期待値が下がってしまったことについて、「それは私たちにとって良いことかもしれないし、悪いことかもしれない」と諦めのような言葉を吐いた。第1回目大会となった2020年のATPカップはセルビアが初代優勝チームであり、ラヨビッチはジョコビッチとともに優勝の喜びをわかちあった関係だ。だが、今は見捨てられたような気分なのだろう。
「彼(ジョコビッチ)は、私たちと同じことを望んでいたと思いますが、どういうわけか彼がここ(オーストラリア)にいるとしても、残念ながら私たちだけで対処しなければならないのです」ともはや恨み節ともいえるコメントを残した。
ジョコビッチが「決定を待っている」と話したことについて影響がありそうなニュースもあった。
28日、英紙『Express』は、オーストラリアテニス協会で全豪OPの防疫責任者だったトム・マクドウェル氏の辞任を伝えた。テニス専門ジャーナリストのベン・ローゼンバーグ記者のツイートをネタ元とする同記事では、同氏は、選手と関係者が新型コロナに感染するのを防ぐため、オーストラリア政府の方針をもとに検疫体制を構築し、管理する立場だったという。
さらに『Express』によると、同氏は全豪OP出場者に対する医学的免除の最終決定に同意しなかったという。実際、大会ディレクターのクレイグ・タイリー氏もワクチン接種必須を強調し、"例外はない"という論調だった。だが、クリスマス前になって「医学的免除が得られるのは"極わずか"」という言質に変わった。
クリスマス前…つまり大会約3週間前の責任者辞任により、医学的免除許可の意思決定が違う形で行われることを意味する。1月17日開幕の全豪OPに対して、14日間の隔離期間を考えると、この時期の意思決定者の変更は、まさにギリギリのタイミングとも言えるかもしれないが…。