テニスの4大大会(グランドスラム)のひとつである全豪オープン(メルボルン、ハードコート)は現地時間1月30日、男子シングルス決勝が行われ、世界ランキング6位で第6シードのラファエル・ナダル(スペイン)が、同2位で第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)をフルセットの末にくだし、13年ぶり2度目の優勝。4大大会通算優勝21回を達成した。
ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の入国拒否問題で揺れた今年の全豪OPがいよいよフィナーレを迎えた。足の手術を経て復活の快進撃をみせるナダルと、同世代の難敵を撃破してきたメドベージェフの決勝戦は、近年まれにみる死闘となった。
通算対戦成績ではナダルに軍配が上がるものの(3勝1敗)、ナダルが不調だったここ数年、メドベージェフはビッグスリーの一角であるジョコビッチと大一番で数多く対戦し、昨季全米オープンをはじめとして引けをとらない結果を出してきている。ナダルは3年ぶりの決勝だが、2009年以来13年ぶり2度目の優勝、そしてビッグスリーが横に並んでいるグランドスラム通算優勝20回を超えて「21」に伸ばせるかに注目が集まった。
第1セットは、第4ゲームから5ゲーム連取したメドベージェフの勢いを示す展開で先制。第2セット、立て直しをはかるナダルは第4ゲームでブレイクに成功も、メドベージェフが第7ゲームでブレークバック。ナダルも再びブレークを奪うもあとが続かず、第2セットも失った。
絶体絶命の展開も、第3セットは持久戦をこらえきったナダルがようやく1セットを奪い、流れが変わった。第4セットもキープ合戦に競り勝ったナダルが、ついにセットカウントをイーブンに持ち込んだ。この時点で4時間を超える死闘はファイナルセットに突入し、両者疲れがみえる中、第5ゲームでナダルがブレークに成功。メドベージェフも粘りをみせ、第10ゲームにきてブレークを奪って5−5まで持ち直した。だが、第11ゲームにナダルが意地のブレークバック。
第12ゲーム、緊張の糸が切れたメドベージェフがミスを重ね、あっという間にナダルがサービスエースを決めて、とうとう死闘が決着。5時間24分、大観衆のスタンディングオベーションの中、ナダルが13年ぶり2度目の全豪OP制覇と、グランドスラム通算優勝21回の偉業を達成した。
オーストラリア・メルボルンの現地時間は午前1時過ぎ。試合後のコートでインタビューに答えたナダルは、「こんばんは、いやおはようかな? 大変な瞬間を味わっています。ダニール、君は素晴らしいよ」と話し、リスペクトを示した。ここ数年はケガからの復帰と欠場を繰り返し、引退も囁かれていただけに、さらに感情を込めて大会中に受けた自身へのサポートに感謝した。
「またツアーに戻れるかどうかすらわからなかった。ここに戻ることがどれほど意味があるのか。とにかく素晴らしい、すべてのサポートに感謝しています。間違いなく、私のキャリアの中で最も感情的な出来事の1つです。過去3週間に受けたサポートを受けたことは、私の心に残ります。本当にありがとうございました」
敗れたメドベージェフは「5時間半のプレーあとに話すことは難しいのですが、ラファを祝福したい。あなたがやり遂げたことは素晴らしいよ」と称えた。全豪OP決勝で2セット先取されてからの逆転優勝は、オープン時代になってからはナダルが初となる。
オーストラリア出身で年間グランドスラム達成者として知られるレジェンド、ロッド・レーバーは自身のTwitterに「あなた(ナダル)がこの歴史的な勝利のために耐えてきたすべてを考えると、2度目の全豪OP制覇とグランドスラム通算21回優勝はとても特別なことだね、ラファ。あなたが好きなこと(テニス)をしているのを見るのは光栄です。おめでとう」と祝福した。
開幕前はジョコビッチ騒動で競技どころではない全豪OPだったが、終わってみればナダルの驚異の復活優勝で幕を閉じた。さらに前日の29日には、女子シングルス決勝で地元のアシュリー・バーティが、ダニエル・ローズ・コリンズ(米国)をストレートでくだし優勝。オーストラリア勢同士となった男子ダブルス決勝では、ニック・キリオス&タナシ・コキナキスがマシュー・エブデン&マックス・パーセルを破って優勝し、異例の地元優勝劇が続くなど、見どころの多い大会となった。