第6週目のNFLは上位チームの多くが敵地でしかもやりにくい相手との対戦が組まれた。だがどのチームもそれを問題にせずに、不利な状況でも強いチームであることを印象付けた。その為、7週目を前にしたスポーティングニュースのパワーランキングには大きな変動がなかったが、それでも多くの注目すべき出来事も発生した。
6チームが5勝1敗かそれ以上の成績を残している(アリゾナ・カーディナルスのみは6勝0敗)なか、混戦状態の中間に位置する4勝2敗から2勝4敗までのチームに興味深い動きがある。プレーオフに進出するのは14チームなので、勢力地図はこれからも大きく変わっていく余地がある。
2021年シーズンも3分の1を経過し、第7週目を迎える32チームの状況は以下の通りだ。
NFL パワーランキング
1. アリゾナ・カーディナルス、6勝0敗 (前回の順位:1)
カーディナルスは敵地クリーブランドでやっかいな相手と対戦したが、ふたを開けると試合開始から終了までブラウンズを圧倒してみせた。クリフ・キングスベリー(ヘッドコーチ)が不在であったにもかかわらずだ。カイラー・マレー(クォーターバック)の右肩に故障の影響はまったく見られなかった。J・J・ワット(ディフェンシブエンド)は堅実なプレイを見せた。
2. ロサンゼルス・ラムズ、5勝1敗 (2)
ラムズは弱い相手にも容赦がなかった。攻撃陣はすべてが上手く行っているし、守備陣には穴が見当たらない。シーズン後半に控えているカーディナルスとの再戦に向けて、着々とチーム力を強化している。
3. バッファロー・ビルズ、4勝2敗 (3)
ビルズは第1週目にピッツバーグ・スティーラーズに惜しくも敗れた後、カンザスシティ・チーフス戦を含む貴重な勝利を積み上げてきたが、テネシー・タイタンズには痛い逆転負けを喫した。
4. タンパベイ・バッカニアーズ、5勝1敗 (4)
バッカニアーズは確実な勝利の方程式を採用している。トム・ブレイディ(クォーターバック)は派手な得点シーンを求めてはいない。故障で戦列を離れているロブ・グロンコウスキー(タイトエンド)と2列目の主力が復帰すれば、チーム力はますます充実するだろう。
5. グリーンベイ・パッカーズ、5勝1敗 (5)
パッカーズの好調ぶりは続いている。アーロン・ロジャース(クォーターバック)とアーロン・ジョーンズ(ランニングバック)が攻撃陣を引っ張り、守備陣も毎試合堅実なプレイを見せている。これで5連勝となり、第1週目でニューオーリンズ・セインツに喫した大敗のイメージは完全に払拭したように見える。
6. ダラス・カウボーイズ、5勝1敗 (6)
カウボーイズはニューイングランド・ペイトリオッツ戦に勝利して、5連勝を飾った。この試合でカウボーイズはかつての弱点を克服したことも見せつけた。重大なペナルティ、ゴール間近のターンオーバー、そして守備カバーの大きなミス、それらすべてだ。チームの主軸であるダック・プレスコット(クォーターバック)は破りがたい選手であり、第1週目にバッカニアーズが勝つことができたのは幸運だった。
7. ボルティモア・レイブンズ、5勝1敗 (8)
ラマー・ジャクソン(クォーターバック)のランもパスも調子が上向いてきており、レイブンズの攻撃は非常に多彩になってきた。守備陣は月曜夜のロサンゼルス・チャージャーズ戦の大勝で自信を取り戻した。
8. ロサンゼルス・チャージャーズ、4勝2敗 (7)
チャージャーズはレイブンズの強力な攻撃に対処できなかった。特にラン攻撃に対する守備の弱点を突かれた。先週好調だったジャスティン・ハーバート(クォーターバック)は大不振に陥り、経験不足で不安定な選手であることを露呈してしまった。
9. カンザスシティ・チーフス、3勝3敗 (10)
チーフスはワシントン・フットボール・チーム戦でもミスが目立った。幸い、パトリック・マホームズ(クォーターバック)とタイリーク・ヒル(ワイドレシーバー)の活躍がまたしてもチームを救い、勝利をものにすることができた。守備陣の調子が戻ってきたのは意外な朗報だった。
10. シンシナティ・ベンガルズ、4勝2敗 (11)
ジョー・バロウ(クォーターバック)は試合前半に素晴らしいパフォーマンスを見せた。プレスコットと今年のカムバック選手賞を争うかもしれない。現在のベンガルズは攻撃陣も守備陣も充実しており、ますます危険な存在になりつつある。
11. ラスベガス・レイダース、4勝2敗 (16)
レイダースはジョン・グルーデンをヘッドコーチから解任した。そのことはあるいは良い効果があったかもしれない。デンバー・ブロンコス戦では今まで見られなかった攻撃陣と守備陣のポテンシャルが発揮されたように見えた。元々は才能ある選手たちが多く、暫定HCリッチ・ビサッチャの新たなリーダーシップが彼らを上手く引き出していた。
12. クリーブランド・ブラウンズ、3勝3敗 (9)
ブラウンズはカーディナルス戦で攻撃陣が総崩れだった。攻撃ライン陣、ワイドレシーバー、そしてランニングバックに故障者が相次ぎ、ベイカー・メイフィールド(クォーターバック)は為すすべがなかった。守備陣は相手チームのラッシュを中心とした攻撃にボールを支配され、まったく対応できなかった。
13. テネシー・タイタンズ、4勝2敗 (12)
タイタンズはAFC南地区での首位の座を守った。インディアナポリス・コルツがすぐ後ろを窺っている。攻撃陣も守備陣も安定しているとは言い難く、次週以降も油断できない戦いが続く。
14. ピッツバーグ・スティーラーズ、3勝3敗 (20)
スティーラーズの攻撃陣はまだ十分とは言えないながらも、新人のナジー・ハリス(ランニングバック)と防御陣の活躍で、勝率を5割に戻した。それが元々このチームのシーズン戦略でもあった。
15. ニューオーリンズ・セインツ、3勝2敗 (19)
セインツはバイ・ウィークで試合がなかった。ドリュー・ブリーズ引退後のチームが今シーズンはどの方向に進むべきか(プレーオフを狙うか、中間に留まるか)を検討するにはよいタイミングだった。ショーン・ペイトン(ヘッドコーチ)はここまでジェイミス・ウィンストン(クォーターバック)の力を引き出し、チームを上手くまとめ上げている。
16. ミネソタ・バイキングス、3勝3敗 (23)
バイキングスは比較的楽な相手(デトロイト・ライオンズ、カロライナ・パンサーズ、シアトル・シーホークス)から勝利を拾い、手強い相手(ベンガルズ、カーディナルス、ブラウンズ)に喫した敗戦とのバランスを取っている。第7週目はバイ・ウィークで試合がないが、その後にはカウボーイズ、レイブンズ、チャージャーズ、そしてパッカーズと強敵との対戦が続く。
17. シアトル・シーホークス、2勝4敗 (13)
ラッセル・ウィルソン(クォーターバック)を故障で欠いたシーホークスはもはや以前と同じチームとは言えない。チームにどれだけ必要とされているかという意味では、ウィルソンはつねにNFLの最優秀選手賞(MVP)に相応しい選手であるとも言える。
18. サンフランシスコ・49ers、2勝3敗 (14)
49ersはバイ・ウィークで試合がなかった。その間に故障者が相次いだ攻撃陣と守備陣の立て直しを図る必要があった。攻撃陣のテコ入れはカイル・シャナハン(ヘッドコーチ)の手腕にかかっている。守備陣の方は時間がかかるだろう。
19. シカゴ・ベアーズ、3勝3敗 (15)
ベアーズは新人のジャスティン・フィールズ(クォーターバック)とカリル・ハーバート(ランニングバック)の活躍でパッカーズを慌てさせた。守備陣にはまだ穴が目立ち、パワー不足は否めない。
20. カロライナ・パンサーズ、3勝3敗 (17)
パンサーズは開幕3連勝の後で急激に調子を落としている。サム・ダーノルド(クォーターバック)は苦しみ、クリスチャン・マカフリー(ランニングバック)は不在のままだ。攻撃陣の潜在能力は高いが、現在の状態は混乱の極みである。ランに対する守備力の弱さも致命的だ。
21. デンバー・ブロンコス、3勝3敗 (18)
ブロンコスは開幕後3連勝の後で急激に調子を落としている。攻撃陣はまだ健闘しているが、ビック・ファンジオ(ヘッドコーチ)が率いる守備陣は崩壊してしまった。今週は木曜夜(日本時間金曜)に敵地での試合が組まれており、チームの立て直しを図る時間は少ない。
22. フィラデルフィア・イーグルス、2勝4敗 (21)
イーグルスはバッカニアーズを相手に健闘した。ジェイレン・ハーツ(クォーターバック)は十分な働きをしたが、守備陣は相変わらず不安定で、ニック・シリアニ(ヘッドコーチ)を苛立たせている。
23. ニューイングランド・ペイトリオッツ、2勝4敗 (22)
ペイトリオッツはカウボーイズとバッカニアーズを相手に僅差で健闘したが、未だに本拠地ニューイングランドで勝利を挙げていない。彼らの勝ち星は敵地でヒューストン・テキサンズとニューヨーク・ジェッツから挙げた2勝のみだ。人気は高いが、プレーオフ進出を狙うチームに相応しい成績ではない。
24. アトランタ・ファルコンズ、2勝3敗 (25)
ファルコンズはバイ・ウィークで試合がなかった。マット・ライアン(クォーターバック)とアーサー・スミス(ヘッドコーチ)は引き続き攻撃陣の強化に取り組んでいる。カイル・ピッツ(タイトエンド)とカルバン・リドリー(ワイドレシーバー)の2人が注目株だ。
25. インディアナポリス・コルツ、2勝4敗 (26)
コルツはカーソン・ウェンツ(クォーターバック)がフランク・ライク(ヘッドコーチ)の期待に応え、攻撃陣は機能している。AFC南地区のタイトルからは、まだそれほどかけ離れてはいない。守備陣を立て直しすることができるかがカギを握るだろう。
26. ワシントン・フットボール・チーム、2勝4敗 (24)
テイラー・ヘイニッケ(クォーターバック)のパス能力は低下し続けており、ワシントンは苦しい戦いが続く。守備陣はさらに期待外れだ。ビッグプレイを最初から諦めている。
27. ニューヨーク・ジェッツ、1勝4敗 (29)
ジェッツはバイ・ウィークで試合がなかった。ともにルーキーシーズンを迎えているザック・ウィルソン(クォーターバック)とロバート・サラー(ヘッドコーチ)の2人には立て直しの時間が与えられた。ただし、第7週目には敵地で今シーズン2度目となるペイトリオッツ戦が控えている。
28. ニューヨーク・ジャイアンツ、1勝5敗 (28)
ジャイアンツは故障者が相次ぎ、ラムズ戦では大幅に戦力を落とした。守備陣は穴だらけになってしまったし、攻撃陣にはリズムも安定性も見いだせない。
29. マイアミ・ドルフィンズ、1勝5敗 (27)
ドルフィンズの守備陣は故障者が相次ぎ、まったく機能しなくなってしまった。ブライアン・フローレス(ヘッドコーチ)にとっては悪夢のようだ。トゥア・タゴヴァイロア(クォーターバック)ら攻撃陣は復調しつつある。
30. ヒューストン・テキサンズ、1勝5敗 (30)
テキサンズのコーチ陣はチーム再建に様々な努力をしているが、デービス・ミルズ(クォーターバック)と守備陣が勝利を期待できるレベルにはない。デショーン・ワトソン(クォーターバック)に代わる選手をドラフトで獲得することができれば、上位を狙う望みはあるだろう。
31. ジャクソンビル・ジャガーズ、1勝5敗 (32)
ジャガーズはロンドンで行われた「ホーム」試合で、トレバー・ローレンス(クォーターバック)にとっての初勝利を挙げた。レシーバー、ラン、そしてスペシャルチームの活躍が目立った。米国本土に戻って戦いが続く。
32. デトロイト・ライオンズ、0勝6敗 (31)
ライオンズの調子は下降し続けており、敗戦はさらに致命的になっている。本拠地試合でベンガルズに軽くあしらわれてしまったことで、その傷はさらに広がってしまったかもしれない。
(翻訳:角谷剛)